壬生エリアで活動する女性農家さんにインタビューしてみた!

地産地消という言葉が定着した近年。国の食料自給率が懸念され、価格高騰などの話題も 度々上がっていますが、農家の担い手は年々減少傾向にあります。そんな中でも、消費者はつい価格に翻弄されがちですが、私たち人の身体が必要とする糧として考える時にどんな野菜が食べたいでしょうか?またどんな想いで農家さんは作物を育てていらっしゃるのでしょうか? そんな思いを巡らせながら、この壬生エリアで農業を営む若手農家さん達にスポットを当て、普段どのように活動されているのかお話を伺ってまいりました!


【ご紹介】今回お話いただく女性農家の皆さま

【ベジファーム】壬生町上田
右:蔵岡 梓子(くらおか あずさこ)さん
左:蔵岡 育子(くらおか いくこ)さん
土に触れ・風を感じ・その恵みに感謝しながら、自然と共に野菜作りに励む壬生町の女性農家を代表する姉妹のお二人。
化学肥料・農薬を使わない有機農業で、作物が丈夫に育つ畑づくり、適期・適地の作付、手作業での除草、落ち葉や藁・ぬか等で作った自家製堆肥など、自然と共存しながら育てた安心安全で自然味を感じる野菜を育てています。
会員制組織『オーガニックヴィレッジ』では、会員になった企業や個人向けに農業体験やイベントを行い、有機農業への理解関心を深め、持続可能な食糧生産や農業経営を目指す活動も!

【表町ファーム】壬生町表町
早乙女 春香(そうとめ はるか)さん
元看護師という経歴を持ち、人が健康に生きていく中で『食』の大切さを痛感し、農業を通して人々の健康な生活を支えたいという熱い想いを胸に農業をはじめた女性農家のホープ!
『自然にやさしいは、人にもやさしい』をモットーに、化学肥料を使わず、鶏糞、牛糞、菜種油粕、米ぬか等の有機質肥料、落葉などを利用した手作り堆肥などを使用し自然と共生しながら野菜を育てています。昔ながらの圧搾法で搾った、無添加の菜種油はみぶブランドにも認定されています。

【TUMUGI farm】壬生町福和田
大出 登志子(おおいで としこ)さん
4人の子どもを育てながら、一人農家として農薬や化学肥料を使わない有機農法で、年間で30品目ほどの野菜を作付けするスーパーお母さん!
食の安全へのこだわりは、かつて、病に苦しむ母親に食べさせられる「安心安全な美味しい野菜」をみつけるのに苦労した経験から。有機農法で、調理のしやすさや「食」を楽しんでもらいたいという観点を大切にしながら作付けをしています。
【Q&A】女性農家さんに10の質問!
Q まずは自己紹介とどんなお野菜を作っているのか教えてください
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ベジファーム 蔵岡 さん:上田で野菜を作っているベジファームです。ベジファームは今から40年以上前に壬生で農業を始め、有機農法で作った野菜を個人のお客様やレストランに宅配でお届けしています。
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表町ファーム 早乙女さん:壬生の表町で野菜を作っている表町ファームの早乙女と申します。現在、有機農法で季節の野菜30種類を作っています。
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TUMUGI farm 大出さん:壬生町福和田で野菜を作っているTUMUGI farmの大出と申します。同じく、有機農法で年間で30品目ほどの野菜を作付けしています。
Q 農業をはじめたきっかけはなんですか?
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ベジファーム 蔵岡 梓子さん:私は、元々ベジファームが野菜を卸している自然食品店に勤めていたんですが、野菜作りに興味を持つようになって、月に何度かベジファームのお手伝いをしに行くようになったんです。そこで、売ることよりも作ることの方が自分には向いていると感じて、社長に頼んでここで一緒に畑をやらせてもらうようになりました。
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ベジファーム 蔵岡 育子さん:私は元々自然が好きで、自然に関わる仕事がしたいと考え大学でもそういう勉強をしていました。その後、緑地設計に関わる会社でアルバイトをしていたんですが、姉が持って帰ってくる有機野菜があまりにもおいしすぎて「自分でもこれを作れるようになりたい!」と思うようになり就農しました。
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表町ファーム 早乙女さん:前職は看護師をしていたのですが、8年前に辞めて、地元の壬生に戻って有機野菜を作りたいと考えていたところ、壬生で有機農業を先駆けてやっていたベジファームさんを紹介してもらい、そこで2年間の研修を受けて、6年前に独立しました。
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TUMUGI farm 大出さん:私は、10数年前に母の病気をきっかけに安全で質の良い野菜の必要性を考えるようになって、壬生町に引っ越してきたのを機に、この地で有機農業をやろうと決めました。表町ファームさんと同じように、ベジファームさんのところで、私の場合は1年間研修をさせてもらい、その後独立しました。
Q 作った野菜はどのように販売していますか?
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ベジファーム 蔵岡 さん:その時々に取れた野菜を何種類か詰め合わせて「野菜セット」として宇都宮を中心に、個人のお客様やレストランなどにお届けしています。近隣であれば車で直接お届けし、それ以外は宅配便で発送しています。
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表町ファーム 早乙女さん:おもちゃのまちコープの地場野菜コーナーに出荷しているのと、個人のお客様やレストランからご注文のあった野菜をお届けしているほか、遠方のお客様向けに野菜の詰め合わせのセットを販売しています。
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TUMUGI farm 大出さん:町内のスーパー、カスミさんの2店舗の地場野菜コーナーに出しているのと、都内、鹿沼市にあるレストランにお届けしています。また、月に一度、庭先に立てた直売所で表町ファームさんと合同で直売会をやっています。
Q 農業をはじめて気づいたことや皆さんに知って欲しいことは?
Q 農業と食育、台所に立つことの多い女性として、どんな気づきがありますか?
Q 農業をやっていて良かった、また逆に大変だと感じるのはどんな時ですか?
Q 農業に興味のある若い人や、自分で野菜を育ててみたい!という人にアドバイスをお願いします
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ベジファーム 蔵岡 さん:上達のポイントっていうことで言えば、うまくできてるところを見に行くっていうのが一番だと思います。
成功例を知らないと目指すところが分からないかなというのがあるので。
「うまくいったら、この時点でこれぐらいの大きさになるんだ」とか「上手くいっている畑ってこういう土なんだ」とか「この季節なんだ」とか、そういう状況をまるっと思い浮かべられないと成功に向かっていけないと私は思います。
とりあえず蒔いてみるのも大事ですけれど、もし見せてもらえる農家さんがいたら「畑を見せてください」ってお願いしてみるといいと思います。それも、自分の畑の近くの農家さんがいいですね。
近くでないと条件が全く変わってしまうので。 ピンポイントの種まき時期とかあるので、そういうのを教えてもらってやれたら良いのではないでしょうか。
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表町ファーム 早乙女さん:家庭菜園だったらもう誰でもできるっていうか、野菜を作るのに資格とか必要ないので、とりあえず興味がある人にはどんどんやってほしいです。
スーパーなんかでも種を売っているので、それを買ってきてとりあえず後ろの説明を読んで蒔いてみるっていう。 とりあえず土に触れるところからやってみるのがいいんじゃないかなと思います。
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TUMUGI farm 大出さん:畑からじゃなくても、プランターからでもなんでも良いので、とりあえず少し興味を持った野菜があったら、ちょっと苗を買ってきて育ててみてください。
最初はなかなかうまくいかないと思うんですけど。でも、それでもまた次やりたいっていうぐらいのポジティブさが大切だと思います。
Q 農業はどんな性格の人が向いている? 女性ならではの良さはありますか?
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ベジファーム 蔵岡 さん:あえて言えば、女性の方が気付きが多いかもしれません。実際、料理をしてる人が多いからっていうのもあるし、こういう野菜が使いやすいんだよなとか、細かいことに。
あれ、これちょっと様子がおかしいなっていうのもやっぱり女性の方がわかると思います。男性でももちろんそういうことができる人はいっぱいいると思うんですけど。あと、野菜達に気持ちを入れて育てるという点で、例えば「なんかこの野菜かわいそうだな」とか野菜をかわいがったりする感覚は女性の方が強いのかなって思います。
なので、性格で言うと相手の気持ちに立って考えるのが上手っていう人は、農業に向いてるかもって思います。
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TUMUGI farm 大出さん:性格は、ポジティブさを持っていると良いですね。1回でできなくても、もう1回やってみよう!とか。
失敗しても、きっとあの苗が駄目だったんだっていうぐらいの勢いで。
でも、これって本当に人生と一緒だと思っていて、ネガティブに考えていいことはないので「うん、次いこう!」っていうふうに考えられるといいですね。
Q 今後どんなことに挑戦してみたいですか?また、農業でどんなことが改善されたら良いと思いますか?
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ベジファーム 蔵岡 さん:壬生町で、もうちょっと、こんなに野菜を作ってる人がいるんだよっていうのをアピールできたらいいなと思います。
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表町ファーム 早乙女さん:自然になるべく負荷をかけないように農業をやりたいと思って有機野菜を作り始めたこともあるので、有機農業を通じて、環境に配慮した生活みたいなことがもっと世の中全体に広まっていったらいいなと思います。
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TUMUGI farm 大出さん:もっと機械を軽く、安くして欲しいですね。
女1人でやっているから余計に思うんですが、こうして周りでも結構女性農家がいるっていうのを見ると、女性がもっと筆頭になって農業をやっていってもいいと思うんですよ。
台所を管理してるのも女性の方が多いと思うし、野菜のサイズ感とか、何を食べたいとか、これぐらいの量が欲しいとかをよく理解していると思うので、女性農家がもっと増えてもいいと思う。
その一方で「この機械があれば女性でもすいすいトンネル作れるんだけど、いくら?」と思って機械を見ると「800万!」っていう。とりあえず全てが高いなっていうのと重いなぁというのがあるので、国策としてそのあたりを改善してもらえないかなと思っています。

Q 農家としてのルーティン、過ごし方は?
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ベジファーム 蔵岡 さん:朝8:30に出社して、まず野菜の収穫をしてから袋詰め作業をします。それを午前中〜午後の早いうちに終わらせて、それから畑仕事をして、夕方に次の日の出荷準備と販売管理(請求書作成、作業行程の検討、種の手配など)をして終了となります。
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表町ファーム 早乙女さん:今時期(冬の場合)、朝起きたら、前日のうちに収穫して袋詰めをしておいた野菜を直売コーナーに出荷します。そのあと、夕方に出荷する分の野菜の収穫と袋詰めをして、明るいうちに畑仕事をして、暗くなってから次の日出荷する分の袋詰めが残っていたら袋詰めをするといった流れです。
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TUMUGI farm 大出さん:夏と冬で大きく変わるんですけれど、夏は朝日の登る前に起床して畑に出て収穫などをしてから、朝ごはんの準備をして家族を送り出して、9時頃にまた畑に出ます。暑さが厳しくなる時間は家に戻って、できる限りの家事をこなし、暑さが和らぐ時間にまた畑仕事に出ます。その合間に子供の送り迎えなどもあるので、とにかく限られた時間を上手く使うようにしています。冬は夏に比べるとゆったりしていて、昼頃から収穫を始めて出荷をして、暗くなったらやらないという感じです。あとは、インスタグラムを1日に1投稿するというのを日課にしています。
【雑談】編集スタッフからの素朴な疑問…!?
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皆さんは風邪とかひくんですか?笑
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風邪は全然ひかないんですよ。頭が痛いとか、肩こりとか、腰が痛いとかはありますけど。2年前にコロナにかかったんですが、その前に熱を出したのが7年前だったので、熱を出す感覚を忘れていて。それから、また一度も風邪をひいてないんですよ。
なんか菌にいっぱい曝露されて、ちょっとずつ免疫つけてるような気がするんですよ。みんな引いてないよね、あんまり。
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学校で子供が運んでくれば、家族全員でコロナとかは。でも最近は全然ないですね。
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土に触れていることで、免疫力も上がっているんですかね。
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食べてますよね、土、いっぱい食べてる笑
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たくさん吸い込んでるよね。
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ほかにも風邪をひかない秘訣とかあったりするんですか?
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周りで風邪が流行っているとか聞くと、麹で甘酒を作ったりしてます。あとは、作った野菜で栄養をつけて。
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やはり自然のパワーをたくさん吸収した野菜から、健康は作られるんですね!
【編集後記】インタビューを終えて
今回、壬生エリアで農業を営む女性の若手農家さん達にスポットを当てインタビューさせていただきましたが、それぞれの熱い想いと、実直にそして丹念に農業に取り組む姿勢にただただ頭が下がる思いでした。
農業が仕事というよりは生活の一部になっているというのがすごく伝わってきて、人の生き方として、良いなぁ、羨ましいなぁと思ってしまいました。
人間が生きていくこと=食べるということでもあるし、その食べ物を作れる農家さんは最強ではないかと感じました。
奥深い自然の恵みや農家の愛情と手間ひまが込められた野菜。その育った背景を感じながら、消費者である私達も感謝しておいしく頂き、健康な日々を過ごしたいですね。
この想いを引き継ぎ、壬生町でさらに農業の輪が広がりますように!女性農家の皆さま、とても貴重なお話をありがとうございました!


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